NTTラーニングシステムズのITIL教育ソリューション

■ ITILの有効性

   『メール1通送付するコストをご存知ですか?』


  ITの受難

郵便であれば、おおよそ封書で80円。はがきで50円の郵送コストが発生します。
しかし、私たちはメール1通当たりのコストを意識しながら、送付することはあるでしょうか。

メールを送付するためにはパソコン、ネットワーク、ルーター、サーバといった機器・インフラ類とメールソフトといったアプリケーション群によって支えられています。当然、パソコンはメールを送るだけの用途ではなく、ビジネス文書の作成やインターネットからの情報収集、さらには各種事務処理のための業務支援などさまざまな用途に使われます。さらに、セキュリティを確保しながらITを運用するためには、保守にかかわる人件費も考慮しなければなりません。

このように複雑に絡む使用用途と保守により、ITの1つ1つのサービスに対する運用コストについて適正に算出することは非常に困難です。したがって、ITの運用に関わる予算は、年間の全体コストを対前年ベースで確保し、執行する組織が多いのが実情です。そしてこれらIT運用のために確保した予算でも、不景気時には、上級マネジメント層による運用コストの削減や新たな追加投資の抑制が行われてきました。



  事務処理から戦略的なツールへ

しかし、現在、さまざまな事業がITによって支えられていると言っても過言ではありません。
メールやWebを活用した顧客とのコミュニケーションのインターフェイス、顧客から得られたニーズ、分析した統計データによる潜在的な需要の発掘、継続的な取引のための囲い込みなど、ITの役割は事務処理から、戦略ツールとして大きく変わってきています。
さらに、事業の見通し、競合他社の台頭、法律といった外部環境の著しい変化に対応するため、IT自体にも俊敏性が求められ、今後タイムリーでかつ適切なIT投資はますます重要になってきます。

タイムリーかつ適切なIT投資をするためには、現状の運用を理解し、それらを評価することが絶対条件となります。そのために平素からのITのマネジメントがいかに大切であるかお気付きの方も多いと思います。
しかし、これまでITは事業領域の拡大・変更、さらにはセキュリティなどビジネスサイドの要請により、継ぎはぎ的に拡張されてきました。それゆえITは複雑さを呈し、マネジメントするのに非常に難易度が高くなったと考えられます。



  振り回されるITからの改革

この複雑なITをいかにマネジメントし、組織やエンドユーザ、あるいは顧客に価値を提供していくか?その手段や方法について解決策がわからない方も多いと思われます。

ここでご紹介したいのが、ITIL(IT Infrastructure Library)です。
1980年代後半、イギリスのサッチャー政権時に、なかなか浮揚しない経済の原因究明、あるいはフォークランド紛争時にイギリス軍が出動に手間取った原因を分析した結果、ITマネジメントができていなかったことにより、このような状況に陥ったと結論付けられました。
そこで、イギリス国内の学者や官僚、SIerなどが、ITをコントロールするためにどのように管理していたらよいか、40冊程度の本として集約したのがITILのはじまり(バージョン1)です。

これらの書籍群はIT運用に関する参考書として用いられ、ITの保守・運用のベストプラクティス集として広く利用されました。内容については詳しく言及しませんが、例えば、ユーザとのコンタクトの窓口となるサービスデスクでは、どうやって情報を管理し、コミュニケーションを図り、適切にエスカレーションし、いかにサービスを阻害させない活動ができるか、そのHOW TOが記述されています。ITILはこういったノウハウを集めた参考書ですので、企業は自分の組織にマッチしたITの運用方法について参照し、部分的に導入したり、テンプレートとして活用しながら、顧客満足度の向上に役立てることができます。



  資格化されたITIL

ITIL1993年にヨーロッパで資格化され、その10年後に日本語での試験が提供されました。
これまで、ITの運用・保守のマネジメントについての資格試験はなく、このITILが初めての資格となりました。

今までIT分野の花形は開発部門であり、運用・保守部門はシステムのバグ対応や故障によるクレーム対応に追われ、どちらかというと日の当たらないストレスの多い組織でした。
これらの組織では、このITIL資格の取得を推奨することで、今まで沈みがちだった担当者のモチベーションを奮起させることが可能となりました。また、ITILをベースとしたITのマネジメントシステムが国際規格化(ISO/IEC20000)されたことも拍車を掛け、ITILの資格取得者は顕著な伸びを示しています。
試験ではTCP/IPといったプロトコルやNWの高度な専門知識ではなく、あくまでITの運用・提供に係わるマネジメントについて問われますので、ファンデーションレベルであれば、しっかり研修に参加し、ITILの体系や用語を理解できれば容易に合格できます。



  ITILの進化

ITILはバージョンアップを重ね、現在バージョン3として5冊の書籍にまとめられました。
・「サービスストラテジ」(Service Strategy)
・「サービスデザイン」(Service Design)
・「サービストランジション」(Service Transition)
・「サービスオペレーション」(Service Operation)
・「継続的なサービス改善」(Continual Service Improvement)
バージョン3への改訂における大きなポイントは、ITのライフサイクルについて言及している点になります。



  変化への対応

社会を取り巻くビジネスの変化はスピードを増し、商品やサービスのライフサイクルも短くなっています。こういった劇的な市場の変化に対して、当然ITも高い適応力が求められています。

ITのトラブルの9割はシステム変更時に発生すると言われていますが、ITILによって確立された手順やプロセスを有効に活用することにより、ITマネジメントの高度化、サービスレベルを維持した柔軟な拡張が可能となり、安定かつ信頼性の高いITサービスの変更を実現することができます。また、費用対効果の高いITのパフォーマンス、日々の運用の改善にもITILは有効です。

ITをコストとして捉えるのではなく、ビジネスに欠かせない戦略的なパートナーと見直すきっかけとしてITILを導入してみるのはいかがでしょうか。ITがいかにビジネスに貢献しているか、運用・保守部門のパフォーマンス評価指標としての取り入れ、IT部門の存在価値を経営陣にアピールするツールとしても期待できると思います。




                                                 小島章教

NTTラーニングシステムズ株式会社  
教育研修事業部 ビジネスコンテンツ&ソリューション部 小島章教  

ITIL Manager(v2)  ITIL Expert(v3)  
ITSMS審査員補(IRCA)  
ITSM Consultant/Manager(ISO/IEC20000)